News & Topics

【仕事と家庭の両立にむけて】2025年に施行される改正育児休業・介護休業法改正について社労士が解説

2024.12.04

※このコラムは、「育児・介護休業法が改正されました ~令和7年4月1日から段階的に施行~」(厚生労働省)を参照して、作成しています。

当該記事のリンクはこちら→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

はじめに

2025年の育児休業・介護休業法改正では、仕事と育児・介護の両立を促進し、男女問わず柔軟な働き方を実現するための措置が盛り込まれています。このコラムでは、改正のポイントを分かりやすく解説し、企業や従業員が取るべき対応について考察します。

1.改正の背景と目的

日本では少子高齢化が進行しており、働きながら育児や介護を担う労働者が増加しています。そのため、従来の制度では対応しきれない課題が生じていました。今回の改正は、以下の課題に対応するものです。

・背景

・育児・介護を担う労働者の負担軽減
・男性の育児参加の促進
・仕事と家庭の両立支援制度の強化


目的

・男女ともに柔軟な働き方を選択できる環境を整える。
・育児休業取得率を向上させ、少子化対策を強化する。
・介護離職を防ぎ、労働力の確保につなげる。

2.改正の主な内容

(1) 子どもの年齢に応じた柔軟な働き方を実現【育児休業関連】

1.柔軟な働き方の拡充
・3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対し、事業主に始業時刻の変更やテレワークなど、2種類以上の柔軟な働き方を提供する義務を課す。
・これらの措置について労働者の意向を個別に確認し、周知することが義務付けられる。

2.残業免除の対象拡大
・現行の「3歳未満」から「小学校就学前」まで拡大する。

3.子の看護休暇の対象範囲拡大
・小学校3年生まで対象を延長。
・子の行事参加などの取得理由も認められるようにする。

4.テレワークの推奨
・3歳未満の子を養育する労働者に対し、テレワークを含む柔軟な働き方を努力義務として推進する。

5.個別意向の確認義務
・妊娠・出産時や子が3歳になる前の適切な時期に、育児と仕事の両立に関する意向を個別に聴取し、配慮することを義務化。


(2) 育児休業の取得状況の公表義務の拡大【育児休業関連】

1.公表義務対象の拡大
・これまで対象が従業員1,000人以上の企業に限られていたが、300人超の企業にも拡大する。

2.次世代育成支援対策の延長
・次世代育成支援対策推進法の期限を10年間延長し、2035年まで有効とする。


(3) 介護離職防止のための両立支援制度の強化【介護休業関連】

1.個別周知の義務化
・労働者が介護に直面した場合、事業主は両立支援制度の情報を個別に周知し、意向を確認する義務を負う。

2.早期の情報提供
・40歳以上の従業員に対し、早期段階で介護保険や両立支援制度に関する情報提供を実施する。

3.介護休暇の適用拡大
・勤続6か月未満の労働者も対象とし、取得可能にする。

4.テレワークの推進
介護を行う労働者がテレワークを選択できるよう、事業主に努力義務を課す。

3.改正の影響と実務対応

(1)企業への影響

1.労務管理の複雑化
・個別意向の確認や柔軟な働き方の提供義務により、人員配置や業務調整が複雑化する可能性があります。

2.コスト増加
・テレワーク設備の整備や制度周知のための研修費用が増加する可能性があります。

3.法令遵守リスク

・改正内容に対応しない場合、法令違反となり、企業イメージの悪化や罰則が科される恐れがあります。


(2)実務対応のポイント

1.社内規定の見直し
・育児・介護休業規定を改正内容に合わせて改訂し、従業員に周知する必要があります。

2.柔軟な働き方の提供
・フレックスタイム制や短時間勤務、テレワークなど、従業員が選べる制度を整備します。

3.従業員研修の実施
・改正法に基づく権利や制度利用方法についての研修を実施し、制度活用を促進します。

4.早期対応の推進
特に介護支援については、従業員に早い段階で情報提供を行い、相談窓口を設置することが望ましいです。

4.改正法がもたらす未来

今回の改正は、働き方改革をさらに推進し、すべての労働者が家庭と仕事の両立を実現できる社会を目指すものです。特に男性の育児参加促進や介護離職防止は、社会全体の課題解決に向けた重要な一歩と言えます。企業と従業員が協力して制度を活用することで、より働きやすい職場環境が構築されることが期待されます。

まとめ

2025年の育児休業・介護休業法改正は、労働者と企業双方にとって重要な転換点となります。改正内容を正確に理解し、適切に対応することで、柔軟な働き方を実現し、家庭と仕事の両立を支援していきましょう。

社会保険労務士法人メイカーズにお問合せ下さい!

新しい制度導入についてのご相談や具体的なアドバイスが必要な場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。中小企業の労務管理と人事制度の専門家として、貴社の課題解決をサポートいたします!