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【社員の心の健康を守る】メンタルヘルス対策について経営者に求められる役割と実践例について社労士が解説

2024.12.23

※この記事は、10分程度で読むことが出来ます

はじめに

現代のビジネス環境では、社員のメンタルヘルスの重要性がかつてないほど注目されています。ストレスの増加や働き方の変化により、メンタルヘルスの問題は業績や職場環境に大きな影響を及ぼします。

本コラムでは、経営者が果たすべき役割と、具体的な実践例、さらに社会保険労務士が提供できる支援内容について詳しく解説します。

1.メンタルヘルスの現状と課題

1.メンタルヘルスの重要性

・労働生産性への影響:メンタルヘルスの不調は、生産性低下や欠勤、離職を引き起こします。
・企業イメージの影響:メンタルヘルスに配慮した企業は、社員や求職者から信頼されやすくなります。

2.現状の課題

(1)ストレスチェックの形骸化
・実施しても結果を活用できていないケースが多い。

(2)管理職の対応力不足
・メンタルヘルスの知識や適切な対応法を知らない管理職が多い。

(3)早期発見・対応の難しさ
・社員が問題を抱えていても表面化しにくい。

2.経営者の役割と責任

1.経営者が果たすべき3つの役割

(1)健康的な職場環境の整備
・長時間労働を是正し、適切な休暇を推奨する。

(2)メンタルヘルスへの意識啓発
・社員にメンタルヘルスの重要性を伝え、支援体制を整える。

(3)相談しやすい文化の醸成
・オープンなコミュニケーションを促進し、悩みを抱え込まない風土を作る。


2.法的に求められる責任

(1)安全配慮義務
労働契約法第5条に基づき、事業主は従業員が安全かつ健康的に働けるように配慮する義務があります。この義務には、職場環境の改善やメンタルヘルス対策の実施が含まれます。

(2)労働安全衛生法の遵守
労働安全衛生法第66条の10では、事業者に対してストレスチェックの実施が義務付けられています。これにより、従業員のストレス状況を把握し、必要な対策を講じる責任があります。

(3)ハラスメント防止
労働施策総合推進法第30条の2に基づき、パワハラやセクハラを未然に防止するための措置を講じる必要があります。これには、相談窓口の設置や教育研修の実施が含まれます。 メンタルヘルスを守る具体的な取り組み


3.職場環境の改善

・業務負担の適正化:業務量の調整やタスクの見直し。
・働き方の柔軟化:テレワークやフレックスタイムの導入。


4.ストレスチェックの活用

(1)ストレスチェックの目的

ストレスチェックは、労働安全衛生法第66条の10に基づき、事業者に実施が義務付けられている制度です。この制度の目的は、従業員のメンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な対応を行うことで心身の健康を守ることにあります。

(2)ストレスチェックの運用方法

①事前準備
社内でストレスチェックを実施する責任者を決定します。
ストレスチェック実施に関する方針や計画を策定します。

②実施
信頼性の高いストレスチェックツールを選定し、従業員に配布します。チェック結果は、従業員のプライバシーを守るため、外部機関に委託するか社内で適切に管理します。

③結果の活用
・個人結果:ストレスが高い従業員に対して産業医や専門カウンセラーと連携し、フォローアップ面談を実施します。
・集団結果:職場ごとのストレス状況を分析し、業務負荷の調整や環境改善策を検討します。

④改善策の実施
集団分析の結果を基に、該当部署や全社的な対策を実施します。これには業務量の調整、ハラスメント防止策の強化、リラクゼーションプログラムの導入が含まれます。

(3)継続的な運用の重要性

ストレスチェックは一度実施するだけでなく、定期的に実施し結果を評価することで、職場環境の改善と従業員の健康維持に役立てることができます。下記のように、適切なフィードバックと改善を繰り返すことが、制度を形骸化させない鍵となります。

①定期的なストレスチェックを実施し、結果を分析。
②ストレス度が高い部署や個人に対して、早期にフォローアップを実施。



5.相談窓口の設置
・社内窓口:メンタルヘルス相談を受け付ける専門部署を設置。
・外部窓口:社外の専門家やカウンセラーと連携した相談窓口を提供。


6.教育と研修の実施
・社員向け研修:ストレス管理やセルフケアの方法を教える研修。
・管理職向け研修:メンタルヘルス問題に気付く力や対応スキルを磨く。


7.リラクゼーションプログラム
・職場で利用可能なリラクゼーションスペースの設置。
・瞑想やヨガなどのリラクゼーションプログラムの導入。

.社会保険労務士ができる支援

社会保険労務士は、メンタルヘルス対策を支援する専門家として、下記のような多岐にわたるサポートを提供します。


1.就業規則の整備
メンタルヘルス対策を反映させた就業規則を作成。
相談窓口の設置やストレスチェックの実施要件を明記。

2.法令遵守のサポート
労働契約法や労働安全衛生法に基づいた適切な対策を提案。
ハラスメント防止対策を含むコンプライアンス研修を実施。

3.ストレスチェックの運用支援
ストレスチェックの実施計画立案から結果の分析まで一貫してサポート。
集団分析結果を基に職場環境の改善提案を行う。

4.メンタルヘルス相談窓口の設置支援
社内外の相談窓口を設置するための運用ルールを策定。
外部専門家や医療機関との連携体制構築を支援。

5.教育研修プログラムの提供
社員や管理職向けのメンタルヘルス研修をカスタマイズして実施。
セルフケアやハラスメント予防に関する実践的な内容を提供。

6.助成金活用のアドバイス
職場環境改善助成金や人材開発支援助成金を活用したメンタルヘルス対策の資金調達をサポート。

まとめ

社員のメンタルヘルスを守ることは、経営者の重要な役割であり、企業の成長に直結する取り組みです。社会保険労務士の支援を活用しながら、適切な環境整備や対応策を講じることで、社員の心身の健康を保ち、企業全体のパフォーマンスを向上させることができます。

具体的な対策を実行し、社員が安心して働ける職場を実現するために、一歩ずつ取り組んでいきましょう。

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