【社員のスキルを向上させる】兼業・副業制度の整備方法、メリットや注意点、導入手順について社労士が解説
2024.11.22
はじめに
近年、多様な働き方が求められる中、中小企業においても兼業・副業を認める動きが広がっています。本記事では、中小企業が兼業・副業制度を導入する際のメリット、注意点、具体的な導入手順について解説します。
中小企業が兼業・副業制度を導入するべき理由
中小企業が、兼業・副業制度を導入すべき理由としては、次の様なものが考えられます。
1.人材確保・定着の促進
兼業・副業制度を導入することで、多様な働き方を求める人材の採用や定着が期待できます。キャリアアップやスキルアップの機会として、兼業・副業を魅力に感じて入社する若年層が増える事が期待できます。また、社員が、自身のスキルや経験を活かして成長できる環境を提供することで、人材の流出を防ぐことも可能です。
2.組織の活性化
社員が社外で得た知識や経験を会社に持ち込むことで、新しいアイデアやビジネスチャンスを生み出すことができます。社員は、自らの成長を実感できることで、従業員のモチベーションが向上し、生産性向上につながる可能性があります。また、異なる業界や職種で働く社員の意見を取り入れることで、組織全体の多様性が増し、新たな視点から課題解決に取り組むことができます。
兼業・副業制度を導入する際の注意点
1.法規制の遵守
労働時間、休日、賃金などの労働条件に関する規定を遵守する必要があります。また、会社の機密情報やノウハウが漏洩しないよう、適切な措置を講じる必要があります。
いわゆるダブルワーク(2社に同時に雇用される場合)では、兼業先との間で、労働条件や勤務時間に関する調整が必要となる場合があります。
2.会社への影響
兼業・副業が本業に支障をきたさないよう、労働時間の管理や業務内容の調整が必要です。また、情報セキュリティ対策を強化し、機密情報の取り扱いを厳格にする必要があります。加えて、兼業・副業に関するルールを明確にし、適切な労務管理を行う必要があります。
3.従業員への影響
過労による健康障害を防ぐため、労働時間の管理や健康診断の実施が必要です。兼業・副業が本業のモチベーション低下につながる可能性も考慮する必要があります。
兼業・副業制度導入の手順
1.経営層の理解と賛同
経営層が兼業・副業制度の導入に賛同し、具体的な方針を決定します。
従業員への説明と意見収集: 従業員に制度の内容を説明し、意見を収集します。
2.就業規則の改定
兼業・副業に関する規定を就業規則に明記します。
3.申請手続きの整備
従業員が兼業・副業を行う際の申請手続きを明確にします。
4.労働時間管理の徹底
労働時間の管理システムを導入し、労働時間の超過を防ぎます。
情報セキュリティ対策の強化: 情報漏洩防止のための対策を講じます。
5.定期的な見直し
制度の運用状況を定期的に見直し、改善を行います。
社会保険労務士が提供できる支援
兼業・副業制度を導入する際には、専門的な知識と実務経験を持つ社会保険労務士(社労士)が、以下の支援を提供できます。
1.法規制の遵守支援
兼業・副業に関連する労働基準法や労働時間管理、健康管理に関する法規制を遵守するためのアドバイスを行います。特に、ダブルワークにおける労働時間管理や、36協定との整合性について適切な助言を提供します。
2.就業規則の改定支援
兼業・副業に関するルールを明確にするため、就業規則の見直しや改定を支援します。兼業・副業の定義、許可条件、申請手続き、禁止事項などを規定することで、トラブルを未然に防ぎます。
3.労働時間管理の仕組み構築
兼業・副業制度導入後の労働時間管理を円滑に行うため、適切な管理方法やシステムの導入を支援します。また、過労防止や健康診断の実施に関する指針も提供します。
4.情報セキュリティ対策の支援
兼業・副業による機密情報の漏洩を防ぐため、情報セキュリティに関する規程や契約書の整備を支援します。特に秘密保持契約(NDA)の作成や見直しを行い、企業リスクを軽減します
5.申請手続きの整備
従業員が兼業・副業を行う際に必要な申請手続きや許可基準を明確化するための支援を提供します。これにより、申請や許可プロセスが円滑に進むようにします。
6.健康管理のサポート
兼業・副業を行う従業員の健康状態を把握するための仕組みづくりを支援します。定期健康診断やストレスチェックの実施を促し、従業員の健康維持をサポートします。
7.助成金の活用支援
兼業・副業制度の導入や労務管理に関連する助成金制度の提案と申請をサポートします。これにより、企業のコスト負担を軽減し、制度導入をスムーズに進めることが可能です。
8.従業員への説明支援
兼業・副業制度に対する従業員の理解を深めるため、説明会の開催や資料作成を支援します。従業員の不安や疑問に答えることで、制度導入後の円滑な運用を支えます。
まとめ
中小企業が兼業・副業制度を導入することで、人材確保・定着、組織の活性化、企業の柔軟性の向上といったメリットが期待できます。一方で、法規制の遵守や、会社への影響、従業員への影響など、注意すべき点も多いため、慎重に検討を進めましょう。
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