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【マイナ保険証の運用が本格化】企業と従業員が知っておくべき準備と課題を社労士が解説

2024.12.05

はじめに

2025年12月1日、長年日本の社会保障制度の象徴として機能してきた健康保険証が廃止され、マイナ保険証または「資格確認書」へ完全移行しました。

この大きな制度変更は、医療のデジタル化を推進するものである一方、多くの企業や従業員にとって新たな課題をもたらしています。

本コラムでは、制度の概要とその背景、企業が取り組むべき実務、そして従業員の不安を解消する方法について、社会保険労務士の視点から解説します。

1.制度概要:マイナ保険証とは?

マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組みで、次のような特徴があります。

(1) メリット
迅速な資格確認:医療機関での受付時にカードリーダーを使用することで、保険資格の確認が簡略化されます。
医療情報の連携:過去の診療記録や処方情報を迅速に共有可能。
手続きの簡便化:転職や引越し時の保険情報変更がオンラインで完結します。

(2) デメリット
個人情報管理の懸念:紛失や不正利用のリスクがある。
対応環境の整備遅れ:一部の医療機関では、まだマイナ保険証に対応していないケースもあります。

(3) 資格確認書とは?
マイナ保険証を利用できない人向けに発行される、保険資格を証明する書類です。ただし、発行には時間がかかる場合があり、事前の準備が重要です。

2.背景 ~なぜこのタイミングで移行が進んだのか~

政府は、医療の効率化とコスト削減を目的に、この移行を進めました。従来の健康保険証は紙媒体であるため、更新や管理に多大なコストがかかっていました。また、医療機関での受付作業の負担軽減や、不正利用の防止も重要な要素です。

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、マイナ保険証は国全体のIT化政策にとって中核的な役割を果たします。

3.企業が直面する課題

(1) 従業員の不安解消
制度変更に対する理解不足や、デジタル機器に不慣れな従業員の存在が企業の懸念点です。特に以下の点で不安が多いとされています。

・マイナンバーカードの紛失リスク
・登録手続きの煩雑さ
・対応していない医療機関での利用困難



(2) 制度対応のための社内整備
企業は、従業員がマイナ保険証を取得・利用できるよう、以下のような対応を進める必要があります。

・制度の周知と教育。
・従業員の進捗状況の管理。
・資格確認書の発行サポート。



(3) コストと時間の負担
従業員が手続きに要する時間や、相談窓口の対応コストが企業にのしかかる場合があります。これをどう効率的に管理するかが問われます。

4.実務的な対応方法

(1) 従業員教育と情報提供
従業員が制度を正しく理解し、安心して利用できるようにするためには、以下の情報提供が必要です。

・マイナ保険証の登録方法。
・紛失時の対応手順。
・利用のメリットとデメリット。


(2) サポート体制の構築
人事部門を中心に、次のようなサポート体制を整えましょう。

・専用相談窓口の設置。
・IT機器の利用が不慣れな従業員へのサポート。



(3) 定期的なフォローアップ
導入後も、従業員の利用状況を定期的に確認し、課題があれば迅速に対応します。

5.今後の展望と企業の役割

マイナ保険証は、医療のデジタル化だけでなく、福利厚生や健康管理のあり方を大きく変える可能性を秘めています。企業には以下のような役割が求められます。

・デジタル技術を活用した従業員の健康管理の強化。
・地域医療機関や保険者との連携強化。
・従業員のITリテラシー向上を支援。

まとめ

マイナ保険証の導入は、企業や従業員双方にとって大きな変革となります。適切な準備と支援を通じて、その移行をスムーズに進めていきましょう。

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