【2025年春闘に備える】賃上げ要求に対して中小企業が準備しておくべきことを社労士が解説
2025.01.24

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※この記事は、「2025年春闘 7年ぶりにベア基準額示す 最低でも1.2万円 自動車総連・方針案」労働新聞 を参照して作成しています。
はじめに
2025年の春季労使交渉(春闘)では、労働組合からの高水準な賃上げ要求が見込まれています。中小企業にとって、これに対応することは財務面での負担が大きい一方で、労使関係の維持や従業員のモチベーション向上に重要な意味を持ちます。
本記事では、中小企業が春闘に向けて準備すべきポイントを整理し、社会保険労務士が提供できる支援、さらに生産性向上や収益力強化に向けた具体策を紹介します。
1.賃上げ要求の動向把握
2025年春闘では、連合がベースアップ(ベア)を「3%以上」、定期昇給分を含めて「5%以上」、中小企業には「6%以上」の賃上げを求める動きが見られます。特に業界全体で賃上げの波が広がる中、競争力維持のためにも賃金水準の見直しが不可欠です。
中小企業としては、これらの動向を踏まえ、自社の財務状況と照らし合わせながら現実的な対応策を検討する必要があります。
2.自社の賃金水準と経営状況の分析
適切な対応を行うためには、自社の賃金水準や経営状況を徹底的に分析することが重要です。
➢財務状況の把握:売上、利益率、人件費率を確認し、無理のない賃上げ幅を検討。
➢業界内比較:同業他社との賃金水準を比較し、競争力を評価。
➢労働生産性の見直し:従業員一人当たりの付加価値を高めるための施策を検討。
これらの分析を通じて、賃金の改善が可能な範囲を明確にすることができます。
3.生産性向上と収益力強化の取り組み
賃上げ要求への対応だけでなく、持続可能な経営のために、生産性向上と収益力強化に取り組むことが不可欠です。
(1) 業務プロセスの効率化
ITツールを活用して業務負担を軽減。
業務フローを標準化し、生産性を高める。
ペーパーレス化を推進してコストを削減。
(2) 従業員のスキル向上
社内研修や外部講習を活用して、従業員の能力を強化。
キャリアパスを明確化し、モチベーションを高める。
(3) 高付加価値化と新規市場開拓
商品やサービスの付加価値を高めて価格競争を回避。
新規顧客や地域市場の開拓を進め、収益を拡大。
(4) インセンティブ制度の導入
成果や目標達成に基づく報酬制度を取り入れ、従業員の働きがいを向上。
これらの施策により、生産性の向上と収益力の強化を同時に達成し、賃上げ対応の基盤を作ります。
4.労使間のコミュニケーション強化
労使関係を円滑に進めるためには、信頼関係の構築が重要です。以下の取り組みを日常的に実施することが有効です。
➢労使協議の定期化:労働者の意見や経営側の考えを共有する場を設ける。
➢透明性の確保:経営状況や課題を率直に伝える。
➢従業員からの意見聴取:賃金以外の労働条件に関する改善要望も受け入れる。
6.賃金以外の労働条件の改善
賃上げが難しい場合でも、労働条件の改善によって従業員の満足度を向上させることが可能です。
➢フレックスタイム制やテレワークの導入。
➢健康支援や福利厚生の充実。
➢職場環境の改善を通じた働きやすさの向上。
これらの施策は、企業イメージの向上にもつながります。
5.社会保険労務士が提供できる支援
春闘における社労士の役割は多岐にわたります。具体的には以下のような支援が考えられます。
・労働法令の遵守支援
法令遵守のためのアドバイスを提供し、トラブルを未然に防ぐ。
・賃金制度の見直し
公正かつ納得性のある賃金体系の構築をサポート。
・労使交渉のサポート
労使間の合意形成を支援し、交渉の進め方をアドバイス。
・助成金の活用支援
賃上げや労働条件改善に活用できる助成金情報を提供。
・生産性向上施策の提案
生産性改善に向けた制度やプロセス設計を支援。
社労士の専門知識を活用することで、春闘準備を効率的に進めることができます。
まとめ
2025年の春闘に向けて、中小企業は賃上げ要求への適切な対応と、持続可能な経営基盤の構築を目指す必要があります。
生産性向上や収益力強化の取り組みを進めるとともに、社労士の支援を活用することで、労使関係を円滑化し、企業全体の成長を実現できます。春闘を機に、経営と労働環境の改善に向けた一歩を踏み出しましょう。

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