【間違えやすい労務管理】代休と振替休日の違いについて社労士が解説
2025.02.07

※この記事は、5分程度で読むことが出来ます。
※この記事は、群馬労働局高崎労働基準監督署発行のリーフレット「代休・休日の振替の適正運用について」を参照しています。
はじめに
働く上で、休日の管理って意外と重要なポイントですよね。特に「代休」と「振替休日」の違いを正しく理解していないと、思わぬトラブルになりかねません。例えば、「代休を取ったのに給料が減った!」と従業員が不満を持つケースや、「振替休日を適用したつもりが割増賃金が必要だった」と会社側が驚くケースもあります。
このコラムでは、社労士の視点から、代休と振替休日の違いを分かりやすく解説していきます。
1.代休とは?
代休は、本来は休日だった日に働いた従業員に対して、別の日を休みにする制度です。「休日労働の代償」としての意味合いが強く、法律上の休日(法定休日)または会社が決めた休日に出勤した場合に適用されます。
・代休の賃金計算
代休を取得しても、休日に働いた分の割増賃金は発生します。法定休日に労働した場合は35%の割増賃金が必要です。ただし、同じ賃金計算期間内(通常は1か月)に代休を取得した場合は、基本賃金部分を控除できます。
【代休の賃金計算の事例】
・所定休日:土曜日・日曜日(法定休日は日曜日)
・賃金締切日:月末
・週の起算日:日曜日
・7月15日(日) 出勤(休日労働 +135%)
・7月17日(火) 代休(-100%)
⇒ +35%の割増賃金の支払いが必要
※ちなみに、飲食店やサービス業では「忙しい時期に人が足りないから休日出勤してもらったけど、後日ちゃんと休ませよう」と考えて代休を導入するケースが多いです。
2.振替休日とは?
振替休日は、「事前に」休日を別の日に変更する制度です。つまり、「本来休みだった日」を「働く日」に変えて、代わりに「働く予定の日」を「休み」にするわけですね。
・振替休日の賃金計算
振替休日を適切に設定すれば、休日出勤の割増賃金は不要です。これは単なる「スケジュールの変更」だからです。ただし、振替後の週の労働時間が法定労働時間(週40時間、特例事業場では44時間)を超えると、時間外労働扱いになり25%の割増賃金が発生します。
【振替休日の賃金計算の例】
・所定休日:土曜日・日曜日(法定休日は日曜日)
・賃金締切日:月末
・週の起算日:日曜日
・7月12日(木) 振替休日
・7月15日(日) 出勤
⇒ 7月15日~20日の間に週40時間を超えた場合は25%の割増賃金が必要
3.代休と振替休日を適正に運用する上での注意点
1.事前のルール整備が重要
代休や振替休日の運用ルールは、就業規則に明記し、従業員に周知しましょう。
2.振替休日は事前に設定すること
休日の振替は事前に決めておく必要があります。事後に「今日出勤したから、別の日を休みにしよう」という対応は認められません。
3.代休の取得期間を決める
代休を取得できる期間を決めておかないと、「いつでも取れる」と思われてしまい、管理が難しくなります。
4.法定労働時間の管理に注意
振替休日を設定した場合でも、週40時間(特例事業場は44時間)を超えたら時間外労働になり、割増賃金の支払いが必要です。
5.賃金計算のミスを防ぐ
代休は休日労働とみなされるため、割増賃金の支払いが発生します。適切に計算しないと、未払い賃金の問題につながります。
4.社会保険労務士が提供できる支援
社労士は、代休や振替休日の正しい運用をサポートできます。
1.就業規則の作成・改訂
ルールが曖昧なままだと、労務トラブルの元に。きちんと規則を整備しておきましょう。
2.労働時間管理のアドバイス
例えば「このままでは法定労働時間オーバーして割増賃金が発生する!」といった状況を未然に防ぎます。
3.労務トラブルの予防と対応
会社側のミスで「割増賃金を払うべきだったのに払っていなかった」となると、後からの修正が大変です。トラブルを防ぐためのアドバイスを行います。
4.労働基準監督署対応のサポート
監査が入ったとき、適正な運用ができていないと指摘を受けることも。そんなときに社労士がサポートできます。
まとめ
代休と振替休日は、どちらも「休日に働いた代わりの休み」を与える仕組みですが、運用方法が異なります。
・代休:休日労働として扱われ、割増賃金が発生する。
・振替休日:事前に休日を振り替えれば割増賃金なし。ただし、法定労働時間を超えると割増賃金が必要。
企業が適正な労務管理を行うには、就業規則の整備や従業員への説明が不可欠です。また、専門家である社労士のアドバイスを受けることで、よりスムーズな制度運用が可能になります
余談ですが、「代休と振替休日の違いを知っていますか?」と聞くと、多くの人が混同していたり、「あれ?違いって何だっけ?」と考え込んだりします。
意外と基本的なことほど、説明しようとすると難しいものです。企業側も従業員も、正しい知識を身につけて、円滑な労務管理をしていきましょう!

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